柔能く剛を制す
この言葉を知った時、力が無くても相手を倒せると普通に思っていた。
歳をとってから、素人で柔術を習い始め、少しずつ基礎を覚え、大きく重い相手と組み、何度も抑え込まれ、それでも試行錯誤し、師範にお聞きしたら、こういう答えが帰ってきた。
「相手を引きたければ、一度押す事。そして、引く事」
試してみたが中々うまくいかない。さらに挑戦し、ある時、体感できた瞬間があった。そのポイントは押し方であった。
力や体重が無いながらも、タイミングを見て素早く最大の力で押し、相手にプレッシャーをかけた時、耐えようとして、相手の力が私にかかる。
その時に一気に引くのである。経験のある強い人は、それをも理解しているので一筋縄ではいかないが、相手をコントロールするには、自分が持てる力で最大のアクションをまずしなければならないと気付かされた。
丁度その頃、ラグビーワールドカップの日本代表の活躍の試合を見た時に気づいたのは、屈強な外人に対して、まず、とにかく、1人、2人と逃げずに当たりに行っていた事だった。
勝負をする時、チームプレーは重要で、個人の技術も必要だが、その大前提には、力の差があったとしても、相手にプレッシャーを与える事が必要という事だ。
知っている事と体感して理解する事には、とてつもない違いがある。頭で考え、身体で実践し、覚えこませる作業がとても大切な事だと感じた。